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機伝イリアス~序章~(43)



 【前回までのあらすじ】

 冥皇星の決戦後現れた謎の女性エフトグレス。
 彼女によって操られてしまったデオネは、無二の親友であるアフロディーテを、自らの乗る神機ヘラの銃撃で死なせてしまった。






 私のせいで、アフロディーテが死んでしまった。
 私が迂闊(うかつ)だったせいで……悔やんでも悔やみきれない。神族は、老化を防ぐ術は持っているが、失われた命を戻す術は持たない。もう二度とこの世で、アフロディーテと会う事は出来ないのだ。その喪失感は底知れ無くて、涙が出る。涙だけは操られても目を滲ませて頬を流れ落ちる。


エフトさんのコピー


 「まあ、平凡な死に方をしたけど、よく頑張ったわね。死の国でゆっくりと過ごせばいいわ」

 
 エフトグレスは、淡白な頬笑みを浮かべ、まるで本の読み手のように淡々と語る。
 それは、恐ろしく冷酷に感じた。何なんだろうこの生き物は? 神族でも人間でもない何か。


 「しかし、デオネもひどいわね。今まで一緒に戦ってきた友達の命を奪っちゃうんだから。あなたの友情ってその程度だったのねえ? 所詮は凡庸な物語の精神的関係なんて浅はかなものなんだわ……あら、悔しいの? でも、無理よ。今のあなたではその犠牲誘惑(サクリファイステンプテーション)を解く手段は皆無なのだから」


 何もできない。言葉も返せない。
 悔しい。まるで、地獄の様な苦しみだ。そんな私の苦しみを、代弁してくれるのは、ゼウスしかいない。彼は、今までに見た事も無いような怒りの表情を浮かべていた。私がどんなワガママを言っても見せた事のない憤怒の表情だった。

ゼウスの怒りのコピー


 「貴様……許さんぞ……!! アフロディーテを亡きものにし、デオネを更に苦しめる貴様を許すわけにはいかない!」

 「あら? 星を治める方が随分とお熱いことね? この程度で冷静さを失っているようでは、あなたの器(うつわ)も高が知れているわ」

 「器など関係あるものか! 守るべきものを守れなくて、蔑(ないがしろ)にされて、黙っているほど心の無い生き物など神族として失格だ!」

 「あっそう……まるで、偽善者の台詞ね」

 「……エフトグレス! 私と一対一で勝負しろ! もし、こちらが勝ったら、デオネを放してもらう!」 

 「あら? あなた、自分が今置かれている立場が、まだわかってないのかしら? こちらに指図する権利なんてないと思うのだけど」

 「お前の言う凡庸な物語ならそうだろう! だが、それを嫌うお前ならば、この話受けて立つはずだ! 不条理な要求をお前は受け入れる!」

 「へぇ」エフトグレスはにやりと笑った。
 「なかなか、洞察力があるじゃないの……わかったわ、その勝負乗ってあげるわ! 」

 「……嘘は無いな?」

 「私はそこまで狡(こす)くないわよ。……ところでゼウス。戦う前に聞くけれど、私の乗っているこの機体、何だかわかる?」

 「……見た目は神機の様だが……」


 プロメテウスのコピー



 「この機体の名は<越神機プロメテウス>! ……どう? 聞き覚えがあるでしょう?」


 「何……だと!!」
  


 その名前を聞いた、ゼウスは明らかに動揺した。
 無理も無い、その名前は古に失われた名前であったのだから。

 
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機伝イリアス~序章~(42)

 【あらすじ】
 デオネのため、ゼウスのため、オリンポスのため。
 アフロディーテは自らが犠牲になる事を決意する!

 
 アフロディーテ2


 「デオネ、聞こえてる?」

 アフロディーテは、私に語りかける。
 答える事も出来ない私に。


 「大丈夫だよデオネ。私はここまでだけど……あんたのことは、ゼウスが必ず助けてくれる!」
 
 アフロディーテ! そんなこと言わないで!


「あんた達の子供、見たかったんだけどなぁ。でも、皆に出会えて幸せだったよ。色々あったけど、本当に楽しかった。宝物さ」


 アフロディーテ! 死なないで! 死んじゃ嫌だ!
 ヘラ、撃たないで! 撃たないでぇぇぇぇぇぇ


 そんな、私の心の叫びをあざ笑うかのようにエフトグレスは冷淡に語る。

 「素直な子ね、アフロディーテ。だけど、もうお別れよ……さあ、撃ちなさい!」

 アフロディーテに向けられた銃口から、放たれる光。
 

ヘラ7のコピー

 
 バシュッ
 バシュッ
 バシュッ!


 私の願いは通じる事は無く、容赦なく光線は神機アフロディーテを射抜く!

 アフロディーテ死亡


 麗しき機体はなすすべもなくその身を貫かれる。
 私にとって目を伏せたくなるような絶望的な光景が広がっていた


 アフロディーテの最後

 「お母さん、ごめん。私、もう帰れないよ……ああっ!? きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 

  いやぁぁぁぁぁ!
 アフロディーテのエナが消える! 消えてしまう!
 

破壊

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 

 光の球体にアフロディーテが包まれた時、もう彼女の命の気配は消え去っていた。私のせいで、アフロディーテは死んでしまったのだ。

 過去の思い出が走馬灯のように思い出される。
 けれど、私は泣く事も事も出来ない。
 出来る事は、ただ自分を責める事だけだった。


 

 

機伝イリアス~序章~(41)

 
 【前回までのあらすじ】
 操られるデオネ。
 エフトグレスは、彼女の命を盾にして、アフロディーテの命を奪おうとする!
 
 ゼウスは、これを制止しようとするが。


ゼウスとエフと


 「あら、どうしたのかしら? ゼウス様」

 「ヴィスに手を出すな! 私を倒せば済む話だろう!? 私がいなくなればオリンポスは崩壊するんだ。」
 
 「あら、流石は。よくおわかりじゃないの。確かにあなたが壊れれば万事片付くでしょうね。私の目的も、果たされる」

 ゼウスは、オリンポスにとってはかけがえのない存在だ。
 彼の精神が、星と調和してオリンポスは成り立ってる。星の管理者であるゼウスの命が失われれば、すべての制御は利かなくなり、星は滅びると古来から言われていた。しかし、そのリスクを知ってでも、ゼウスにはアフロディーテを守り愛と言う気持ちがあった。なぜなら、かけがえのない友人だからだ。

 私も2鈴とは長い付き合いだから、わかっているつもりだ。
 その絆がいかに深いものであるかを。
 けれど、今は何もできない。ただ、2鈴の無事を願うしかなかった。


 「ならば、この私の命を奪うがいい。その代り、デオネとアフロディーテの命の保証を約束してほしい。」

 「ふぅん」エフトグレスハいやらしい表情を浮かべて笑う。
 「仲間思いだねぇ。でもね、そんな展開面白くないの」

 「何をっ!?」

 「それに、あなたのお友達は、それを望んでいないみたいだしね」

 「……!?」

 ゼウスの機体は、ふっとアフロディーテの方を向く。
 彼女の繊細な機体の手からは、大刀レイグンラックが離されていた。

アフロディーテの覚悟

 「ヴィス(※1)! お前……」

 「ありがと、ゼウス。でも、もういいんだ。私の命くらい、くれてあげるよ」

 「何を言ってるんだ!? 従う事は無い! 剣を持て、ヴィス!」

 「私はさ、二鈴に生きてほしいんだ。ゼウスとデオネが生きていてくれれば、私は死んだって構わない」

 「よせっ、そんなこと言うなよ!?」

 「あんたたちの子供が見れないのは残念だけど、今まで楽しかったよ。ホント、皆に会えて良かったって思ってる。その思い出があれば私は十分さ」

 「ヴィス……」

 「ごめんね。ずっと一緒だったけど。ここまでだね」

 「お前……」

アフロディーテ仁王立ちのコピー2

 アフロディーテの機体は大きく手を開いた。
 自ら的になるとでも言うように。

 「さあ、撃ちなっ! デオネ! あんたの手にかかって死ぬんだったら私も本望さぁっ!」


 エフトグレスは、その様子を見ると、とても楽しそうに笑った。
 そこにはまるで、憐みの感情は無かった。


 「そう、それじゃあお望み通り宇宙の塵にして差し上げましょう。神機へラ、あの者を壊してしまいなさい!」


 ヘラの銃口が、アフロディーテの方を向く。
 私は、願った。


 撃つな

 撃つな

 撃つな!

 撃たないで!

 撃っちゃダメ!


 しかし、それらの声は、すべて聞こえることは無かった。



 (※1)アフロディーテの愛称。ゼウスは幼い頃は本名では無くこちらの名で呼んでいた。


 

機伝イリアス~序章~(40)

 【前回までのあらすじ】


 謎の女性エフトグレスに縛鈴(人質)にとられてしまったデオネ。
 ゼウスも、アフロディーテも抵抗することが出来ない。

 エフトグレスは、まずアフロディーテの命を奪うと言ってきた。
 それも、親友の手によってである。
 

  エフととあーちゃん

 アフロディーテはレイグンラックを投げ捨てた。
 顔には戸惑いと悔しさが滲み出ている。

 「くうっ……このままじゃデオネが! 何か方法を探さないと。」

 アフロディーテの口から洩れた言葉にエフトグレスはすぐに言葉を返す。顔には相変わらず憎らしい笑みを浮かべていた。

 「無駄よ。この<サクリファイステンプテーション(犠牲誘惑)>を解く事は出来ないわ。素直に、諦めなさい」

 「サクリファイス……テンプテーション? そんな、精神操作系アニュオス(※1)は聞いた事無いんだけど?」

 「フフッ……知らなくて当然よアフロディーテ。アニュオスでは無いんだから」

 「アニュオスじゃない? じゃあ、一体、何なんだよ!? 一体何をデオネにかけたんだ!?」

 「……残念だけどその質問に答えることはできないわ。手品のタネをあっさりと教えるの、私は物語として面白いと思わないから。まあ、例え教えたってどうに出来るものじゃないとだけは言っておくけどね。」

 「ふーん、それは不親切だね。大丈夫なら教えてくれたっていいのにさ~」

 アフロディーテは苦笑いをした。
 心ではまったく笑えていないのが伝わってくるようだ。

 「……さて、大変申し訳ないんだけど、あなたとの会話はここまで。じゃあ、神機の手を広げて無防備になってちょうだい。デオネが手早くあなたを壊せるように!」

 「つっ、時間稼ぎはさせないつもりってことか。慎重なんだね何とかの使徒さんは!」 
 
 「フフッ何とかでは無くて<光陰の使徒>よ……今更覚えても遅いのだけれど。さあ、デオネ! デイレイター(※2)の銃口をアフロディーテに向けてくださいな!」

   洗脳デオネのコピー

 神機ヘラが、動く!
 私の意志をに介さずに、体が動く!
 手に持つ銃の照準がアフロディーテに向かう!
 心が焦る! 体の何かが大きく鼓動する!

 やめて!
 やめて、ヘラ! お願いだから!
 アフロディーテは味方だ! 撃っちゃだめだ。
 言う事を、聞いてっ!


 「やめろっ! エフトグレス!」


 その時、私の心に呼応するように声を発したのはゼウスだった。



 


 (※1)アニュオスは、神族が使える超能力の事。様々な種類が存在する。
 (※2)光線発射銃。多くの神機の主兵装である。神機ヘラのものは超強化型。





tag : SF 長編 小説 機伝イリアス

機伝イリアス~序章~(39)



 【ここまでのあらすじ】

 クロ二ウスを倒し、ティタンとの戦いを終えたデオネ達。
 その前に現れたのは、赤い神機と共に現れた謎の女性エフトグレスだった。

 光陰の使徒を名乗る彼女の目的とは?
 デオネ達の運命とは? 


    サクリファイステンプテーションのコピー



 体が動かない。
 声も出ない。

 昔、夢で見た事がある。
 化け物に捕まえられて必死に助け呼ぼうとするが、何も言葉を出す事ができずにそのまま食べられるところで目が覚めるそんな悪い夢だ。今の状態はそれに似ている。相当に強い呪いなのだろうか? 今の私の力を持ってしても振り払う事が出来ない。


 出来る事は、ビアラー(モニター画面)に映るものを見て聞く事だけだ。ゼウス達と、エフトグレスと言う女の姿とやりとりを、ただ見守ることしかできない。体は一切私の言う事を聞いてくれないのだ。


 「貴様、デオネに何をした!?」


 「フフッ……この子はもう私の意のままよ。これがどういうことか、おわかりかしら?」

 
  会いたいのコピー


 「デオネを元に戻せっ!」
 アフロディーテは、エフトグレスの機体に迫ろうとする。
 しかし、エフトグレスはそれを見て微笑みながらこう言った。

 「だめよ、動いちゃ……私がひとつ命令をすれば、神機もろとも木端みじんにできるんだからね。さあ! この子の命が惜しければ、その武器をおろし、抵抗はやめなさい。」


 「つっ!」
 
 神機アフロディーテの動きが止まる。
 エフトグレスは、挑発するように首を小さく振った。

 「こういうの、あなたたちの言葉ではどういうの? 人間の言葉では、<人質>って言うんだけど。」


 「縛鈴(ばくりん)だよ。エフトさん、大きな事言っておいて随分と小賢しい事するんだね! 物語とかでもよくあるけどさ、そういうことやるヤツってのはたいがい小悪党で、最後は失敗してロクな目にあわないんだよね。」


 「フフフ、それは普通の物語でしょう? 残念ながら非凡な物語と言うのはそんなパターンに乗るものではないの。ここで、縛鈴が救出される事は無いのよ。アフロディーテ、それじゃあまず、あなたには最初に壊れてもらおうかしら。」


 「何っ!?」


 「手に持つ武器を捨てて、手を広げなさい。そうすれば、あなたのお友達があなたの命を奪ってくれるわ。このデオネと神機ヘラが、あなたを壊してくれる。」


 「デオネが!? ……つっ、畜生っ!」


 だめだ、アフロディーテ!
 私の事はいいから、武器を手放しちゃだめだ!
 アフロディーテ!


 しかし、私の声は届かない。
 心の中に響き渡るだけだ。
 


 

tag : SF イリアス 長編 小説

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