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【5000hit記念】がらくたポエマーⅡ④




孤独




 麗音(れお)と琴美(ことみ)が出会ったのは、小学生2年生の時だった。東京から一家揃って引っ越してきた麗音が、琴美のクラスに転入してきたのだ。


 この頃から人見知りの激しかった麗音は、クラスに全く馴染めず、それどころか敵を作ってしまった。要するに嫌われ者ののけ者だったのである。また食べ物の好き嫌いも激しく、苦手な物を食べられずに昼休みに入っても机に座らされ続ける事もあった。先生が給食を残す事に対して厳しい人だったのだ。その度にクラスメートから冷やかしの言葉を浴びせられた。


 孤独な日々が続いた。ただ、それだけならまだよかった。そこまで、不満では無かった。しかし、その年の9月麗音にとって忘れられない事件が起こる。


 ある日の昼休み、麗音はクラスメートの男子数人に校舎の裏に連れて行かれた。麗音には不安がよぎったが、まさにその予想通りだった。彼らは、麗音を羽交い絞めにすると、腹を蹴る等の暴行を加えた。麗音は、助けを呼んだが暫くは誰も来てくれなかった。


 体中を激痛と恐怖が覆った。
 両親の事を思い出して涙が零れた。


 倒れ込んだ麗音が発見されたのは、昼休みも終わりに近づいたころだった。 
 大問題になりそうな事件だったが、クラスの担任は大事になるのを恐れたのか、当事者たちで和解するように無理やり取り計らった。暴行された相手に、麗音は顔を合わせる羽目になった。男子達は「気に入らなかったからつい、やってしまった」と謝ったが、心底からとは到底思えないものだったので、麗音にとってはあの時の恐怖が離れる事は無かった。毎日が、怖かった。


 そんな凍てついた心の麗音がある日とった行動は、彼らと同じ他人への暴行だった。そして、その相手が琴美だった。 

孤独2


 麗音は、琴美をあの時と同じように人の見えないところへ呼び出した。そして、彼女の腹へ何発も何発も蹴りを入れた。琴美は、痛み苦しんで泣いた。


 しかし、琴美は助けを呼ぶ事をしなかった。
 それどころか麗音に「ごめん」と謝ったのだ。


 その時以降、2人は徐々に打ち解けて、いつしか一緒に遊ぶようにまでなった。それから、高校生の現在に至るまで意見が対立する事もあったが、離れることなく一定の距離関係を保ち続けてきたのだった。
 

 麗音は、あの時どうして琴美と打ち解けることができたのかは、はっきり覚えていない。特に理由が無かったのかも知れないが、少し不思議に思う事もあった。
  


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